【2025/R7】筑波大学 情報メディア創成学類 編入試験に合格するまでの1356時間08分29秒
以下の大学の 3 年次編入試験を受験し、全てに合格しました:
- 筑波大学 情報学群 情報メディア創成学類 (mast)
- 電気通信大学 Ⅰ 類 メディア情報学プログラム
- 長岡技術科学大学 電気電子情報工学分野
ということで、編入体験記を書いていきます。今回は表向きの自分語りは比較的 少なめになるようにして、本筋ではない自分語りは脚注にしたり折りたたんだりしました。パソコンだと脚注1にカーソルをホバーさせるだけで中身が見えるので、見たい人はパソコンで見るのをオススメします。というか、あまりにも長くなりすぎてしまったので、目次を活用してください。すぐ上にもあるし、右下のボタンで開くメニューの中にもあります。パソコンなら常に右に表示されています。
ところで:タイトルは ジョージア工科大学に合格するまでの 572 時間 29 分 02 秒 というサイトをオマージュしたものです。「一児の父でサラリーマン」という身分ならではの TOEFL 学習方法が紹介されていたりと、非常に興味深い記事です。この記事を読んだ後に是非。
スペック
わたすけです。偏差値がギリギリ 60 あるかないか程度、驚異の 4 学期制、過去 5 年間で筑波大学への進学者を排出していない2、宇部工業高等専門学校 制御情報工学科に所属しています。
クラス順位は 1 年次から順に 9→3→2→3 です3。1 年次に履修した数学系 の科目ひとつ4を除いて(結構ギリギリではあるものの)すべて優を取っています。
TOEIC は 2024/03 に受けて 905 (L465/R440) 点でした。AtCoder はギリギリ茶色です。
なぜ進学?
まず、僕は高専入学時点では殆ど就職志望に傾いていました。「就職率がほぼ 100% で求人倍率も高いのに、それを活かさないのってもったいなくね?」みたいな感情からです。
進路について考えることになったきっかけは、2 年次で参加した合同企業説明会です。といっても企業のレベルに絶望したみたいなネガティブな理由ではありません。様々な企業の業務内容などを聞き、自分がやりたいことを改めて考えて言語化し、色々と調べていくと、大学進学という道が見えてきた……という感じだったと思います。
もうちょっと長い進学動機(「やりたいことを改めて考えて言語化」について)
合同企業研究会では、前もって決められた企業を回る時間と、回る企業を自分で自由に決められる時間が分かれていました。どの企業を見ようかと考えた時、僕は toC に興味があるなと気付きました。では、toC で何をしたいのでしょうか。
これを考えて、「人間のやることを減らす」という形で言語化しました。今思うと必要以上に抽象的なタイトルであるような気がするのですが、要するに、人間は愚かなので、コンピューターにサポートしてほしいな、という意味です。
僕は記憶力が良いわけではないので、やるべきことをすぐ忘れてしまいます。幸い、世界にはそのような人が多いらしく、「やるべきことを覚えておく」という責務を外部デバイスに委託するためのツールこと「ToDo リスト」という概念が確立しています。
さて、では ToDo リストへ追加する過程で、何を追加するべきか忘れてしまう人はどうすれば良いのでしょうか?実際に僕もそのような経験があります。回避策は、思いついてからリストに追加するまでの時間を可能な限り短縮する、というのが 1 つだと思います。
スマートフォンでこれを達成できるでしょうか?ポケットから取り出し、ロックを解除し、ホームに戻り、ToDo 管理アプリを探して起動して……という流れは明らかに冗長です。また、やるべきことのリストを確認するためにも、これと似たような作業は要求されがちです。
さらに、例えば時間をスマートフォンで確認する人類は少なくないと思っていますが、時間を確認するためだけにポケットから取り出して、電源ボタンを押すなり画面をタップするなりして画面を点灯させるのは面倒だと思っています。時間くらい視界の隅に常時表示してくれても良いのではないでしょうか。
スマートフォンは手のひらサイズのコンピューターとして、人類を常にインターネットへ誘ってくれる素晴らしいデバイスであると思っています。しかし同時に、最良のデバイスでもないと思っています。取り出し・格納の手間はかかるし、人間と物体との相互作用において重要な役割を果たす手を、物理的に拘束してしまうのは不便です。
やけに長くなってしまいましたが、これが「自分がやりたいことを改めて考えて言語化」したものです。要するに、ToDo リストへの追加がかんたんになったり、視界に時刻が常時表示されたり、という世界が欲しいわけです。そして、それについて調べているうちに、前者については HCI、後者はウェアラブルデバイスや xR というキーワードを知りました。
そもそも、ウェアラブルデバイスへの興味はそれよりずっと前から持ち続けていました。ただ、それは SF の世界なんだろうなあと思って半ば諦めていた……というか、取り組むべき目標として認識していませんでした。
合同企業説明会をきっかけに、ウェアラブルデバイスなどに対する興味の根源を言語化し、そしてそれらに対して「HCI・xR」といった分野を「研究」する、というアプローチで接近できる道を見つけました。そして、「SF の世界」の実現にほんの少しでも貢献したいと思うようになりました。
つまり、「進学しようと思った理由は?」と聞かれたら、「研究がしたかったから」という回答が生えると思います。
進学先選定
進学先を調べるにあたり、以下の点を重視しました;
- 興味のある研究室がある
- 研究が進学のモチベーションなので当然ですね。
- 東京に近い
- 就職する場合でもこの条件は重視するつもりでした。田舎住みの人間としては、東京周辺で開催されるイベントに参加できないのが悲しかったので……
- 化学がない
- 僕が化学を履修したの は 1 年次です。ただでさえ勉強のモチベーションがない時期に学んだことに加え、そもそも学んでから時間が経ちすぎていて、今から復習や独学をするのは難しすぎると判断しました。
- 情報系で化学が必須である学校(学部)はそこまで多くないので、基本的に問題はありませんでした。
さて、Twitter で大学名をよく見かける大学や、関東あたりにありそうな大学を中心に列挙して調べていった結果、以下の大学に注目しました。
東京大学
この大学は少し特殊です。というのも、実は進学を決めた理由の大部分は東京大学の存在にあるからです。そもそも HCI という分野を知ったきっかけは、この大学のとある研究室が行っている研究でした。その研究室に行きたいという気持ちは当然あったし、他にも僕の興味に近い研究室がたくさんあったし、未踏に採択されている人が極めて多かったし、「CPU 実験」とかいうめちゃくちゃ面白そうな授業があるらしいし……という感じで、色々な理由から魅力的だと感じるようになりました。というわけで、東京大学(工学部 電子情報工学科)は長らく僕にとって第 1 志望でした。
……最初に書いた部分から察することが出来ると思いますが、最終的には受験自体を断念してしまいました。そもそも自身の学力が圧倒的に足りていないことはわかっていて、しかしどうせ頑張っても無理だろうという考えからモチベーションが下がり、それでも学力が足りないなら勉強をしなければならないという焦りが生じ、結局モチベーションがないので勉強はせず……という悪循環に陥っていました。そんな中で、長岡技科大と試験日が重複している事が判明し、そして「長岡技科大を受けない」という決断ができるような自信はもちろん皆無だったため、受験を断念しました。
ただ、志望したことを後悔はしていません。受験を断念した当時からこの考えは変わっていませんが、電通大と出題範囲が近かったことによって勉強が無駄になることはなかった上、(特に受験後半ではプレッシャーとなっていたとはいえ)序盤は確かに自身のモチベーションであり続けてくれたからです。5
筑波大学
東京大学を第 1 志望に見据えた後、次に自ずと浮かび上がってきたのが筑波大学 情報学群です。未踏採択者が多いことに加え、Twitter における FF の多くが通っている大学であり、故に TL にキャンパスや雙峰祭の状況がよく流れてきて、都度なかなか良さそうだなあと感じていました。
興味のある研究室が mast にいくつかあり、その研究室に所属している(と思われる)筑波大学の学生が HCI 研究会で発表しているのをよく見かけていた、というのも理由です。
東京大学はずっと第 1 志望だったのですが、ほぼ受からないだろうと思っていたため、こちらが実 質的な第 1 志望であり続けました。東京大学の受験を断念してからは名実ともに第 1 志望です。
さて、以上は進学を決断した時点で決めた学校です。それからは併願先を探すのがメインになっていきました。併願先はかなり迷いました。5 年生になってからも変動するほどには迷っていました。
電気通信大学
これは自分で見つけたわけではなく、知り合いからめちゃくちゃオススメされたのがきっかけです。しかも 2 回。
まず最初に勧められた際、校風が魅力的だなあと感じたので、自分で色々調べてみました。ただ、特に興味のある研究室があるわけではなく、しかし受験科目に化学が入っていたので、進学先として見据えはしませんでした。
その後、また同じ人に会ってまたオススメされ、「でも化学が……」と言うと、「化学は物理と選択だよ」と教えてもらいました。調べてみたら実際そうだったし、改めて研究室を調べたら興味のある研究を行っているところがいくつも出てきました。何???
という経緯を経て、第 2 志望となりました。筑波大学が第 1 志望なのは変わらずでしたが、筑波大学と違って東京都内に所在すること、研究できそうな内容に大幅な差異がなさそうなことから、電気通信大学にもかなりの魅力を感じていました。
この状況で、電気通信大学は推薦があったので、これに出願するかどうか少し悩んでいた時期がありました。結局、筑波大学を第 1 志望のままにして、推薦は受けないことにしました。憧れていた時期が長いこと、総合大学であることになんとなく魅力を感じたこと等が理由です。