高専5年の活動を振り返り、進路選択を再考する
先日 2025-03-21 に卒業式を迎え、晴れて Diploma (Intelligent System Engineering) を獲得しました1。何だこの学位……?先生に聞いたところ、まあ 準学士 (工学) ということで良いのでは、とのことでした。
ということで、こんにちは。わたすけ(準学士 (工学))です。5 年間通った宇部工業高等専門学校を卒業しました。……卒業したらしいです。正直に言うとあんまり実感が伴っていません。期末テストもないまま最後の学期がぼんやり終了し、それとほぼ同時に引越しをしてしまったことが影響しているのでしょうか。卒業式それ自体も「なんかクラスの人々といっぱい写真を撮るイベント」みたいな印象が残っていて、卒業の名を冠するこの式ですら、僕に卒業の実感を与えてくれることはありませんでした。
それはともかく、卒業式の参加によって、学位証明書と同時に卒業証明書も獲得しました。先日これを大学に提出してきたので、合格発表からつい最近に至るまで感じられなかった進学の実感が、いよいよ姿を表してきたように思えます。いや本当に自分が進学できるのだという実感がなくて、合格証明書が届いてからもいまいち信じられなかったんですよね。卒業証明書の提出もそうですが、最近は色々な人と話すイベントがやけに多く発生していて、その度に自分の(将来の)所属を話しているのも、実感づくりに影響しているのかもしれません。
だいぶ前置きが長くなってしまいましたが、制度上はちょうど昨日で卒業となっているはずです。これを機に、僕が 5 年間で何をしてきたのかをざっくり振り返って、改めて高専という進路はどうだったのか考えていこうと思います。
各学年での取り組み
それでは、5 年それぞれについて振り返ります(留年しなくて良かった)。
1 年生(2020 年度)
コロナウイルスの存在感が徐々に増してきた 2020 年初頭。入学・入寮して間もなく強制退寮となってしまい、再び開寮してからもしばらくは授業がオンラインで行われる……という、先行きが危ぶまれるスタートを切った年でした。もう 5 年も経つってマジ?ぜんぜん記憶にないです。この年の振り返り記事はこちら:
2020年も終わりそうなので、色んな面から今年を振り返るwatasuke.net - 2020-review毎年恒例の、1年間の振り返りです。開発したプロジェクトなどの面から2020年を振り返ります。
やったこと
この年は割といろいろなことをやったはずです。まず、入学した直後、学校行事などの予定を管理する共有カレンダーがクラス内に誕生しました。これは TimeTree というサービスを用いており、このサービスにはご丁寧に Web API が用意されていたので、朝になったら、当日の予定を API 経由で取得して、クラス内 Discord に流す Botを Python で作りました。Web API も Python も触ったことない状況から 2 日くらいで完成させました。コードの規模もやってることも大したことはないのですが、開発を始めた時点での知識量を考えると、まあよくやったよねという感じではあります。
それから Flutter を使ってお小遣い管理アプリ を作ったりもしました。Flutter の勉強も兼ねて、自分で使う用のアプリを作ったのですが、今となってはこのアプリも Flutter も使っていません。というかこのアプリを自分用として使ったこと自体がありません。フォロワーが使ってくれて、割と好評だったのを今でも覚えています。
さらに、この年は Web フロントエンドに手を出し始めた年でした。英単語テストを発端に開発を始めた学習サービスこと TAGetherは、2021 年初頭にクラス内で公開し、5 年生になってもなお利用してもらえました。高専生活において最大の成功体験なのではないかとまで思っています。このサービスについては Cosense で語っています:
あと、この時期は Alter Linux に関わっていたりもしましたね。あらかじめ寮務室にデスクトップ PC の持ち込み許可を得ていたのに、入寮してから寮生会に禁止を通達され、絶望しながら買った中古のノート PC に当時リリースされたばかりの Alter Linux をインストールして使っていたのが懐かしいです。ほどなくして僕も開発に携わらせてもらえることになり、主に i3wm エディションの開発をしていました。なんか他人事っぽくなってしまうのですが、Alter Linux、復活する未来あるんですかね?
授業
分かっていたことではあるのですが、専門科目はかなり少なく、一般科目メインでちょっと物足りなさがありました。一般科目については、数学において 5 年間で唯一の良を取ったり2、化学に苦しめられたりしていました。
専門科目も主に C 言語の基礎という感じで、もう既に知っていることばかりでした。が、実験でビット演算に初めて触れることができたのはよかったですね。ビット演算は HSP でその概念を知らないまま触れていたのですが、そのメカニズムを改めて理解できました。ちなみに、当時ビット演算のことを知らないまま書いたコードがここにあります。ここにも貼っておくと、こんな感じです:
int num = tab_modules_->CheckBoxesStatus();
if (num >= 128) {power = true; num -= 128;}
if (num >= 64) {battery = true; num -= 64;}
if (num >= 32) {memory = true; num -= 32;}
if (num >= 16) {cpu = true; num -= 16;}
if (num >= 8) {network = true; num -= 8;}
if (num >= 4) {clock = true; num -= 4;}
if (num >= 2) {i3 = true; num -= 2;}
if (num >= 1) {launcher = true; num -= 1;}
カスのコードではあるけど、記号が縦に並んでいて良いですね(?)
あと、前期はオンライン授業だったので、モチベーションがかなり低く、このときに学んだことは正直ほぼ身についていません。複素平面だけは、受験で必要だったので、唯一いまでも身についていると言えるかもしれません。
後期からはやる気を出しました。テスト勉強とかいうやつを自発的に行ったのは生まれて初めてでした。このあたりはポエムが書けるのでいつか書きたいなあ……と思っていますが、今の所オチが思い浮かばない等の原因で書けていません。というか書いても公開しないかも……。公開するなら note でやりたいです。
その他
クラスの人間に勧められたことをきっかけにデレステを始めました。高専生活で発生した変化の中で最も良かった変化の一つです。2020 年の振り返りでも書きましたが、デレステのキャラを知っていることで、インターネットで流れてくる 2 次創作に対する理解が深まり、結果として摂取できるコンテンツの幅がかなり広がったと感じています。
それと、未踏ジュニアの成果発表会を初めて見ました。これもかなり人生が変わったと思います。
さらに、Notionを使い始めたのもこの年だったっぽいです。もう5年間も使ってるんですねえ。
2 年生(2021 年度)
この年の振り返りはこちら:
2021年をふりかえりますwatasuke.net - 2021-review毎年恒例の、1年間の振り返りです。開発したプロジェクトなどの面から2021年を振り返ります。
未踏ジュニアに応募して落ちました。提案書の温度感が分かっていなかったことが敗因の一つだと思っています。それ以降は、前述の TAGether を主に開発していました。U-22プロコンにも出しましたが落ちました。あと、年度が始まってすぐこのサイトの開発が始まりました。
それと、1 年生のころ、たまたま高専祭を担当している先生の授業があり、それとなく高専祭で広報的な活動をしたいんですよ~という話をしたら、この年から高専祭に関わらせてもらうことになりました。広報部に飛び込んで、イラレでパンフレットを作っていました。あまり満足のいくデザインにはなりませんでしたが、しかし面白かったです。
高専生活で発生した変化の中で最も良かった変化の一つ、日記を書き始めたのもこの年からです。
授業については、微積のテストでカスの点数を取ったり、物理に苦しめられたりしていました。あと「倫理」という授業で、任意のテーマに対してクラスで話し合う「哲学対話」というものを行ったりしていて、これはかなり面白かったです。
専門科目については、まだそこまで面白いものはありませんでした。「電気電子基礎」という、電気回路のことを勉強する感じの授業で手書きレポートを強いられた記憶くらいしかありません。あとこれは専門科目ではないのですが、「プロジェクト学習」という PBL 的な授業があり、やる気のない先輩を横目に Python で関数電卓を頑張って作ったりしていました。頑張りに対して成績が思ったより悪くて、微妙な気持ちになりました。
書くことがなくなりました。この年は虚無です。マジで。
3 年生(2022 年度)
高専生活も折り返し!この年の振り返りはこちら:
2022年を振り返りますwatasuke.net - 2022-review毎年恒例の、1年間の振り返りです。今年取り組んだこと、学業、ハマったコンテンツ等の面から2021年を振り返ります。
やったこと
未踏ジュニアに再度応募し、書類選考を突破することが出来ました。採択には至りませんでしたが、代わりに(というわけでもないが)未踏アドバンストに参加させていただきました。2 年生のときにあった未踏 IT の成果報告会で、Zwin (当時は Z11 だったり ZIGEN だったりしました)の発表を見て Twitter ではしゃいでいたら、何故か未踏アドバンストに誘っていただき、チームで Wayland コンポジタを作ることになりました。GitHub を用いたチーム開発を経験できたり、Wayland や OpenGL の知識を得ることが出来たり、国のお金で飛行機に乗って東京に行くことが出来たりと、本当に良い経験が出来てありがたい限りです。僕の卒業研究は当時の経験ありきです。
また、セキュリティ・キャンプに参加したのもこの年です。応募したのは初めてで、まさか受かるとは思っていなかったのですが、行けてよかったです。
そして年度末には GCC 2023 のチューターとしてシンガポールに行ったり、その数週間後には台湾へ留学しに行ったりしていました。どちらも僕にとってこれ以上無いほど意義深い経験でした。
あと技育展にも行っていたらしいです。もう覚えてない……。
それと、この年の高専祭にも広報部として参加しました。副部長という大層な身分になりましたが、やったことはそこまで変わりません。この年は、イラレを用いたパンフレット作成に加え、エンディング動画の冒頭アニメーションにおいて、BGM と全く同期されていなかったアニメーションを修正したり、数秒間のモーショングラフィックスを作成したりしました。
さらに、おそらくこの年から、テスト期間中にクラスDiscordサーバーに常駐して質問を受け付ける活動を自主的にやっていました。情けは人の為ならず、ですからね!!あとまあ承認欲求を満たすためでもあります。僕が逆に助けてもらったりもしていましたが。
授業
専門科目が面白くなってきました。「ハードウェア・アーキテクチャ」と称してコンピュータアーキテクチャまわりを勉強したり、「ソフトウェア・アーキテクチャ」と称して OS まわりを勉強したり、「離散数学」と称して集合とか真理値表とかオートマトンとかカルノー図とかグラフとかを勉強したり。あと定番の「データ構造とアルゴリズム」があったのもこの年でした。
個人的に {ハード,ソフト}ウェア・アーキテクチャは5年間でもトップレベルで面白かった授業ですね。先生も面白い人だったし、テストの品質も高くてよかったです。
そして一般科目も歯ごたえがありました。線形代数では固有値・固有ベクトル、微分積分では積分・偏微分・重積分と、編入試験でも頻出の分野を学びました。国語でも小論文を学んだりして、受験が徐々に近づいてくるのを感じていました。
それと、これは授業というより自主学習なのですが、 TOEIC の点が伸びたのもこの年度でした。初回は 2 年生の末(2022 年 1 月)に受けて 515 点、そこから 70 時間くらい勉強して 340 点くらい伸ばしました。
なんというか、この年度の重みがデカすぎるような気がします。未踏アドバンスト、セキュリティ・キャンプ、GCC、台湾留学が全部この年なんですよね……。それぞれ単体でも大きなイベントなのに、ぜんぶ1年間で経験してる……。授業も良かったし、TOEICも頑張ったしで、改めて考えると一番よかった年度かもしれません。
4 年生(2023 年度)
この年の振り返りはこちら:
2023(令和5)年を振り返りますwatasuke.net - 2023-review毎年恒例の、1年間の振り返りです。海外渡航歴や開発したプロジェクトなどの面から2023年を振り返ります。
受験勉強を始めた年ということもあって、そこまで色々なことはしてなかった気がします。
やったこと
セキュリティ・ネクストキャンプに参加しました。2022 年度とは違ってオフラインでの参加となり、色々な人と対面で会って、名刺を交換したり会話をしたりすることが出来て、かなり楽しかったです。人生のトップ 3 イベントには入っていると思います。
あと、高専祭ではいよいよ広報部長にまで上り詰めてしまいました。この年は InDesign を用いてパンフレットを作成し、イラレでポスターを作って、ロゴとその投票サービスも作って、さらに Web サイトも作って、エンディング動画は楽曲から作って、と、やりたいことを全部やることが出来ました。めちゃくちゃ忙しかったですが、かなり楽しかったです。
それから、カプコンが開催していたゲーム開発のハッカソンに参加したりもしました。
さらに、 2 泊 3 日で韓国旅行をしました。また行きてえ~~~。あとマレーシアに留学もしました。はい……。特に言うことはないです……。
授業
かなり専門科目が増えてきた……と見せかけて、専門を自称しているただの数学や物理が開講されているだけで、情報っぽい授業は殆どありませんでした。制御情報工学科なので制御っぽい「メカトロニクス」とか「計測工学」とかをやりましたが、マジで面白くなかったです。すみません……。あと電磁気学でマクスウェル方程式が出てこなかったことと、テストであと一歩のところで満点を逃したことを今でも根に持っています。まあ少なくとも後者は完全に僕のしょうもないミスが原因なのですが、前期の「応用数学」とかいうクソデカ主語でベクトル解析をやったのに、電磁気でマクスウェル方程式を用いないのは謎すぎます。
あと一般科目も微妙でした。「資格英語演習」という仰々しい授業の実体が単なる先生の自分語りだった、というのがハイライトです。英語演習とは?
5 年生(2024 年度)
この年の振り返りはこちら:
2024(令和6)年を振り返りますwatasuke.net - 2024-review毎年恒例の、1年間の振り返りです。今年やって良かったこと等から2024年を振り返ります。
やったこと
夏休みまでは受験、それ以降は卒業研究、それでおしまいです。受験についてはとにかく無事に終わってよかったです。
卒業研究は、未踏アドバンストの番外編みたいな感じでした。未踏期間中に作った zen-mirror を XREAL Air 2 シリーズに移植して、Zwin プロトコルを用いたヘッドレスな Wayland コンポジタである yaza を作りました。研究発表会でデモをしようとして盛大に失敗し、絶望しました3。これについては、NRSDK とか Android とかそのあたりの制約が一因となって開発が止まっているのですが、コンセプトはかなり良いと思っているので、いつかどうにかしたいという思いがあります。
それ以外の取り組みとして SecHack365 をここに書けたら良かったのですが、残念ながら落ちてしまいました。その代わり、 SecHack365 でやりたかったことに 8 月をまるごと費やして、プログラミング言語 Settlang として完成させました。中学生の頃に出して 1 次審査で落とされた U-22 プロコンに応募し、1 次審査は通過することが出来ました。結局 2 次審査で落ちましたが、インターンとかでこの作品を紹介して興味を持ってもらえることがあり、非常にありがたいです。
Settlang については、Zenn の記事投稿イベントにあやかって、このブログではなく Zenn に記事を書きました。
ライブラリなしで自作言語:可変性をsetterの有無で表す言語 "Settlang"https://zenn.dev/watasuke/articles/a188b2dbd25a1f
また、11 月には CODE BLUE の学生スタッフもさせていただきました。これも楽しかったです。
そして、かなり最近ですが、年度末にピクシブでインターンをさせていただきました。かなり多くのことを学べて非常に良かったです。
そういえば、カメラ(キヤノン R50)を買ったのもこの年でしたね。R10 にすればよかった~と無限に言っていますが、それでも満足しています。
授業
卒業研究がメインになって、科目がだいぶ少なくなりました。何気にこの年の授業はかなり良かったです。「リサーチワークショップ」と称して教師あり学習のアルゴリズムを学んだり、「ネットワーク」と称してようやく TCP/IP の基礎知識を身につけることが出来たり、「音声処理」で Python を使ってフーリエ変換をしたりしなかったり、情報理論と称して符号理論まわりを学んだりしました。
まあ情報理論は受験が終わっていない頃に開講されていたので、テスト勉強より受験勉強のほうが圧倒的に大事だろ!!と言いながらノー勉でテストに挑んでしまったんですけどね。案の定なかなか悲惨な点数になって、順位もめちゃくちゃ下がったのですが、あのテスト期間に受験勉強をしたからこそ合格できた面は確実にあると思っているので、後悔はしていません。
この年は選択科目としての専門科目がかなり多く、しかしその殆どが受験期間中の開講だったため、ほとんどを受講しませんでした。フーリエ変換をやる授業や、教師なし学習をやる授業があったりして、正直ちょっと羨ましかったです。まあこれらを受講しなかったおかげでテスト科目がかなり少なくなり、勉強時間が伸びたことで合格に繋がったとは思っているので、こちらも後悔はしていませんが……。
5 年間の総括
5 年もあったわりに技術的な成長が乏しすぎないか?とは思わなくもないですが、それでもかなり色々なことを学ぶことが出来たなあという感じです。Python・Rust・TypeScript などの言語や、React・Next.js・SQL・Wayland・OpenGL などのライブラリという感じで、かなり広範囲に手を出したのではないでしょうか。
とりわけ Web フロントエンドに手を出したのはかなり大きな変化だと思っていて、Web アプリを作ったり、このように自分の Web サイトを作って公開することが出来たりと、かなり便利なスキルとなりました。
もちろん授業で得た知識もいろいろありますし、特に自分では絶対に学ばなかったであろう知識を得られたのは授業ならではだなあと思います。
あと、自分で言うのも変な気はしますが、人間的にもかなりマシになったと思います。言うべきでなさそうだなあと思ったことを言わないままにしておくことが以前よりは出来るようになったり、コミュニケーション能力も若干マシになったりしたような気がしないでもないです。これどうなんだろう……主観としてマシにはなったと思うのですが、思ってるだけで対して変わってなかったりしたらどうしよう……。
人間関係としては、中学生時代の僕はとにかく狭く深くという感じでしたが、高専ではクラス全体と広く浅く交流していた、という違いもありましたね。クラス内に学校用の Twitter アカウントを持っていた人が多く、Twitter を介して広く浅く交流していました。これはこれで良い面もあるとは思うのですが、僕との(主に性格的な?)相性があまり良くないであろう人々のツイートが流れてくることで疲弊してしまったりという面もありました。ただ、これについては対象者をミュートするなりして自己防衛する手段を身につけることも出来たので、大きな問題ではなかったです。
とはいえ一部の人とはそこそこ深めに交流できたと思っています。Twitter界隈(?)の人が集まるDiscordサーバーがあって、ボイスチャットに飛び込んで適当な話をしたり、時には各自の価値観について深めに語り合ったり、勉強中にわからないことを聞きあったりすることが出来てよかったです。なんかあらゆる価値観が僕と正反対な人もいて凄かったし、このような人と話が出来る環境があったのも良いですよね。
それから、自発的に勉強できるようになったのも良い変化だったと思います。なんやかんやで数学とか物理とかは面白いので、自主学習のおかげである程度は理解しながら授業や問題演習に取り組むことが出来ました。このおかげで進学という選択肢が見えていたのも良かったですよね。高専生になってようやく勉強を始めたモチベーションとして、「進学したいと思ったときに後悔しないようにしたい」というものがあったのですが、実際に入学当時には就職希望だったのが最終的には進学志望になったこともあり、その通りになったと思います。
「高専」という選択肢
さて、それでは改めて、この進路選択について考えていきたいと思います。
僕は推薦入試で高専に入学しました。面接での受け答えに関するメモが、作成時期にしては珍しく残っているので、そのまま引用します:
私は小学生のころ、ゲーム制作に興味を持ち、それがきっかけでプログラミングは楽しいなと思い、プログラミングを始めました。そして、今年の夏休みには、初めてマイコンを用いたプログラミングに挑戦しました。その時、マイコンを用いた制御プログラミングに対する興味がわき、それらを早期から専門的に学習するとともに、同じ目標や興味を持った仲間とお互いを高めあっていきたいと思っていました。その時、オープンキャンパスでの体験授業や高専祭などに参加し、自分の興味に合っていると思ったため、貴校を志願いたしました。
記憶が正しければ、これとほぼ同じことを話したはずです。ポイントとしては、「専門科目の学習を早期から開始できること」、そして「興味が似通った人々と交流すること」です。
前者については、ほぼ期待した通りの結果が得られたと思っています。低学年のうちは知っていることも多くて退屈な面があったとはいえ、学年が上がるにつれて科目数が増え、知っていることをさらに深堀りしたり、自発的に勉強しなかったであろう知識を得たりすることが出来ました。
まあ正直、個人的に重きを置いていたのは後者です。入学前に思い描いていたように、趣味でプログラミングをしている人がたくさん居る!というわけでは全くなくて、その点では少し残念でした。ただ、こちらも様々な点で達成できているのでは、と思っています。
まず、大量に居るわけではないとはいえ、いるにはいました。僕のクラスだと、観測範囲では僕以外に 2 人です。あと、低学年を覗くと、学科外を含めてちらほら居ます。何なら弊校には AtCoder 黄色が居ます。ヤバすぎる……。彼らとはコンピュータ部を含む色々な場面で交流して、色々なことを学ばせていただきました。本当に感謝しています。
そもそも他の人と技術的な雑談をするのってめちゃくちゃ面白いんですよね。中学生時代にはこのような経験は出来ませんでした。高専以外、すなわち普通科高校とかに行っていても、このような経験は出来なかったのではないでしょうか。まあ工業高校とかなら可能性は比較的高いとは思いますが、僕は高専に落ちたら普通科高校に行って、大学で情報科に進学しようと思っていたので、その未来はなかったと思います。
さらに、これは入学前には全く予想していなかったのですが、趣味でプログラミングをしていて~とまではいかずとも、コンピューターとか技術とかにそこそこ関心がある人が多いです。また、授業やテストを通じて基礎的な知識を獲得しています。そう!普通科高校では絶対に出来なかったであろう、Twitter(学校垢)とか Discord とかで技術に関するオタク早口トークが出来るというわけです!!!マジですごい!!!!!リトルエンディアンとセグメンテーションの話をして聞いてもらえる4学校が高専以外にあるか!?
というわけなので、高専を選んだことについて後悔は一切ありません。進学という道を選んだ今でもそう思っています。そもそも数学・物理・情報を勉強するだけで大学に行けるというのも良いですよね。僕が普通科高校に行っていたら筑波大学に行けるような学力は身についていなかったような気がします。
「宇部高専」という選択肢
うーん。少なくとも「制御情報工学科」という選択肢は別に最善ではなかったと思います。山口県には徳山・宇部・大島の 3 高専が存在し、学力的には真ん中(全国的にはかなり下らしいが)で、かつロボットの制御に興味があったことから選んだ宇部高専の制御情報工学科ですが、入学して知ったことは「僕は別にロボット周りに興味があるわけではない」ということですね。制御に関連した授業には全く惹かれませんでした。
結局のところ、僕の興味はコンピューターそのものというか、CS 分野に向いているっぽいんですよね。その意味では大島商船(情報工学科)のほうが合っていたのだと思います。まあ大島商船を選ばなかったのは「いま興味があるような分野は自分で学べば良くて、むしろ全く知らない制御まわりを学べる学校のほうが良い」という考え5からだったので、それはわかっていたのですが……。ここまで制御に惹かれないとは思っていませんでした。
ただ、後悔しているというほどではないです。徳山高専に行けるような成績ではなかったし、徳山高専の情報科は「情報電子工学科」の名を冠していますが、電気分野こそ興味がないのは分かっていたので。ただまあ、県外に目を向けるとかはしても良かったかなあ、とは思います。
まあそれでも、弊学科の特徴である「制御情報工学実験」でマイコンをいじるのは楽しかったです。PID 制御とかはそんなに楽しくなかったですが……。あと普通にこの辺りは苦手で、周りが簡単そうにやっているライントレースの実装も全く出来なかったんですよね。適正、なし!w
宇部高専それ自体については、そこそこ満足しています。特に、専門科目の先生に良い先生がかなり多くて良かったです。一般科目の先生は……良い先生と悪い先生の差がめちゃくちゃ大きかったですが……。
あと地味に図書館が良かったです。技術書も充実していて、新しい本が割とサクサク入ってきていたし、受験に関連する本もかなり多くて助かりました。何ならすぐ隣に山口大学工学部もあるので、これも合わせるとかなりのラインナップになります。
それと、主語がデカいですが、宇部市がなんやかんやで良かったのかもしれないです。学校まわりの坂を上り下りすれば割と色々なものにアクセス出来るんですよね。わりと大きめの本屋はあるし、スタバはあるし、パソコン工房はあった(過去形)し、もう少し頑張って遠出すれば大きめのショッピングモールはあるし、そこには映画館もあるし(映画のラインナップはびっくりするほど悪いですが)。
ただ、高専祭で広報部長までやったのに、「高専祭の各部長は "学生会" という枠組みからは外れているから」という理由6で、成績優秀者としての表彰を受けられなかったのは流石にひどくないでしょうか。高専祭に関する活動なんて学校に何の利益ももたらさないからですか??
あと不満かどうかは微妙ですが、全体的に勉強に対するモチベーションが低い気がします。中学生時代にテスト勉強すらしていなかった人間が言えることではないという面もあるとは思うし、どこの高専でも似たような傾向なのかもしれませんが……。少なくとも、例えば TOEIC ではたった 620 点で偏差値 87.67 を叩き出してしまったり、進学希望者もかなり少数派(しかも弊クラスの学力受験者は僕を含めて 2 人)だったり、それ故に学校が保有している過去問が全く充実していなかったりという状態ではありました。
高い求人率が高専の強みであることは理解していますし、僕もそれを魅力的だと感じて入学したので、進学率に関しては不満というわけではないです。ただまあ、授業の終盤に出された演習問題を授業終了後に問いていたら「勉強すんなよ~w」みたいに茶化してきたり、テスト期間中に「お前ら勉強するな!一緒に成績を下げよう」みたいなことを言ったりするような人がいる7のは流石に……。僕が進学先を秘匿していたのは前者の出来事がかなり大きな要因としてあるのですが、それと進学率の低さが相まって受験勉強が孤独になってしまった面はあると思います。いや、さすがにこれを他責するつもりは全くないのですが、しかし勉強のモチベがある人々は徳山高専のほうが向いてそうですよね。知らんけど。
「寮生」という選択肢
僕は家から寮までの距離がそこまで遠かったわけではなく、実際に僕と似たような地域に住んでいる人は家から通学していたのですが、しかしなんとなく寮生になることにしました。実際には「今後のことを思うと、挨拶とか出来るようになっといたほうがいいよなあ、寮はそういう指導もあるらしいしなあ」みたいなことを思っていたりもしたのですが、廊下の端に一瞬でも先輩が見えたらデカい声で挨拶しろ!!!みたいな馬鹿げた指導を受けて育った結果、2 年生になって指導がなくなってからは挨拶という概念が頭から消え去ってしまいました。
それはそれとして、寮は僕にとってかなり良い環境でした。2 年生まではずっと同じ人と 2 人部屋、3 年生からは 1 人部屋という形式でしたが、相方との相性も悪くはなかったので、2 人部屋でもそこまでの不満やストレスはなかったと記憶しています。食事は毎食提供されるし、洗濯も乾燥機が併設されていて楽でした。
そして、「親元を離れて生活することが出来る」というのが思ったよりも嬉しかったです。一応言っておきますが、親との仲が悪いとか、そういうネガティブさは無いです。無いですが、しかしまあ 1 人か、あるいは同居するにしても同じ年代の人が 1 人だけ、という環境のほうが開放感を感じることが出来る……という側面は確実にあると思っています。
あと当然ですが居住地と学校との往復時間がめちゃくちゃ短いのは本当に良かったです。忘れ物をすぐ取りに帰る事ができるのは代えがたいメリットですよね。ついでに言うなら通学生にマウントを取れます(もちろん冗談のコンテキスト下です)。
ただ、門限が 21 時に設定されており、他と比べて特に厳しいというわけではないと思うのですが、しかし地味に厄介でした。あまり外出しないので基本的には関係なかったのですが、たまに外出しようと思ったときに牙を剥いてきます。あと、たま~に「門限があるから」という理由でイベントに参加できなかったり、他の人と遊びに行けなかったりすることがあったので、こういうイベントが頻繁に起こる社交的な人間にとっては辛い環境だと思います。
あと、同じクラスの(「元」を含む)寮生はしきりに「寮食が不味い」と連呼していましたが、これは本当にそんなことはないと思います。まあ不満があるのはわかります。長時間保温されていて料理の表面が乾燥していたり、味付けについて濃さの振れ幅が極端だったり……あとチャーハンは流石に不味かったですが……。いや不満を列挙してしまいましたが、僕は殆どの食事を楽しんでいました。人によりけりかもしれません。ちなみに来年から業者が変わるらしいです。どうなるんだろう……。
おわりに
長々と書いてしまったし、不満も色々と書きましたが、しかし色々な経験が出来たり、色々な知識を身につけることが出来たりと、全体としてはなかなか良い 5 年間を過ごせたのではないかと思っています。高専に期待していたこともおおよそ満足できて、僕にとってはかなり良い選択だったと思っています。
しかしまあ、実際やったことを列挙してみると、思ったより少ないですね。密度が高かったと言われるとそうなのかもしれませんが……。
まあとにかく、今年からの大学生活もそれなりに頑張っていきたいです。いろいろやるぞ!
Footnotes
-
ほぼ原文ママです(英語しか書いてない) ↩
-
しかも 70 点でギリギリ、あと 1 点でも少なければ可だった ↩
-
セキュリティ・キャンプフォーラムでほぼ同じ内容を発表したときはデモではなく動画にしました ↩
-
理解してもらえているかどうかは……わかりません。反応はあったはずなので聞いていないわけではないと思っています(たぶん)。セグメンテーションの話については、後に授業でも取り扱ったので、今ではみんな理解しているはずです ↩
-
実は筑波大学の志望学類も、普段やっていることに照らせば coins のほうが近いのですが、mast を第 1 志望としたのはこれと同じ理由もあります。一番大きい理由は受験体験記にも書いた「興味のある研究ができそうだから」という点ですが ↩
-
学生会や寮生会の役員、あるいはクラス委員などの経験がある人間で、成績評価が優である科目が 9 割以上、みたいな評価要件がありました。表彰を受けたいだけならクラス委員をやれば良かったのですが、高専祭の部長が評価されずにクラス委員が評価されない賞って意味ないですよ、という気持ち ↩
-
ぜんぶ経験談です。まあまあ不愉快な出来事ではあったのですが、これをしてきた人間たちを恨んでいるというわけではないです。中学生時代に勉強をサボっていた身としては、勉強していないことで後ろめたさを感じるのは痛いほど理解できるので、勉強している人間を冷笑することでそれを解消しようとするのは防衛本能の一種なんだろうな、と解釈しています ↩
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